通信傍受 2013 6 8

2013年6月8日の産経ニュース電子版には、このようなニュースがあります。

情報収集「合法的」 アメリカ大統領が正当化

 オバマ大統領は7日、国家安全保障局(NSA)が、
市民の通話履歴やインターネット上の情報を
ひそかに収集していると報じられた問題について、
国民の安全確保に必要な措置であり、
「憲法や法の原則にのっとっている」と正当化した。
カリフォルニア州サンホセでの記者会見で語った。
(引用、以上)
 私は、この問題については、「やむを得ない」と考えています。
もちろん、インターネットの自由は、最大限に尊重する必要があります。
さらに、憲法が保障する「通信の秘密」(通信の自由)も尊重しなければならない。
 しかし、国家安全保障上、
日本においては、防犯や治安のために、
一定の通信傍受は、「やむを得ない」と思っています。
 日本では、深刻で悲惨な事件を引き起こした犯人が、
犯行前に、ネットに犯行を示唆する文章を書き込んでいたというケースがありました。
 ところで、このニュースは、数多くの報道機関で取り上げていますが、
「エシュロン」については、どの報道機関も触れていません。
この単語は、禁句だったのでしょうか。

中国の情報機関 2013 5 19

書名 中国の情報機関 世界を席巻する特務工作
著者 柏原 竜一  祥伝社新書

 情報機関と聞いて、皆さんは何を連想するでしょうか。
映画やテレビで活躍する「スパイ」でしょうか。
 しかし、多くの人は、情報機関を誤解しています。
こうした活動(工作)は、映画のように派手なものではなく、
基本は、地道で、コツコツと年数をかけて積み上げていくものです。
 映画の「スパイ」は、娯楽的な要素が強いと思います。
情報機関の王道は、対象国において、
「思想的な共鳴者」を作り、増やしていくことです。
 こうした作業は、地味で手間がかかり、
長年の月日を要することであり、
なかなか成果を得ることができませんが、
これが、情報機関の王道というものです。
 それから、もうひとつ誤解を指摘しましょう。
情報機関というと、対象国の政府機関にスパイを潜入させて、
秘密情報を抜き取るという「映画」があります。
 こうした手法は、情報を得るためには、
「手っ取り早い」と思いますが、リスクが高いのです。
 まず第一に、スパイが摘発されるリスクがあります。
 次に、あえてスパイを摘発しないで、
そのスパイに偽情報を与えるという手法があるのです。
 やはり、情報機関の活動というものは、
「地道で地味」が「王道」というものです。
 スパイ映画に比べると、つまらないと思うでしょうが、
公表されている資料を集めて分析することが、基本であり、王道です。
 新聞、テレビ、本、雑誌、論文、インターネットなど、
コツコツと資料を集めて分析するのが大事です。
 私は、2003年に「エシュロン」について書きました。
これは、アメリカにある「超コンピューター」のことで、
あらゆる情報媒体から情報収集するコンピューターです。
 これは、通信傍受システムと言われていますが、
一種の「言語コンピューター」とも言えます。
すべての言語(情報)を集めてきて英語に翻訳し、分析するのです。
 さて、前置きが長くなってしまいましたが、
中国の情報機関は、中国軍に比べると、優れていると思います。
中国軍は、まだまだ近代化が遅れている部分が多いでしょう。
 新聞やテレビに出てくる最新兵器は、ごく一部であり、
大部分は、まだまだ近代化が遅れていると言えるでしょう。
 中国では、たとえ新聞やテレビに出てきた兵器でも遅れているものがあります。
たとえば、最近、メディアで公表された中国の空母については、
映像を見て、軍事関係者には、すぐにわかったと思いますが、
あれは空母と呼べるものではなく、「戦闘機運搬船」に近いと思います。
 それに比べて、中国の情報機関は、
伝統と実績があり優れていると思います。
 欠点を言えば、中国では、
あまりにも情報機関が多すぎて、統一性が欠けるということです。
 中国は、党が国家を指導する体制です。
情報機関が作成した資料が、定期的に、
党の政治局常務委員や政治局員に届けられるのでしょうが、
人間というものは、情報が多すぎると、判断ができなくなるという習性があります。
 情報というものは、集めれば集めるほど、膨大なものとなります。
それを分析して、重要なものだけ、シンプルなものにして指導者に渡すというのが、
理想でしょうが、なかなか難しいでしょう。


































































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